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違うって、まぁくん。そんなに押しつけてきたら鼻がぶつかっちゃう。
キスはね? こうするんだよ。ほら、口を開けて――
まぁくんの目が大きく見開かれたのがわかった。
わたしはまぁくんの口唇が離れないように彼の頭を押さえつけ、自分の口唇を更に押し付ける。
わたしの舌がまぁくんの口蓋を押し上げ彼の舌を絡めとってゆく。公園内に艶めかしいくぐもった水音が響く。
わたし、幸せよ。
まぁくんとのキスは、『他の人と違って』すごくドキドキする。
ドンッ。
だからわたしは何故そうなったのか、分からなかった。
幸せの絶頂にいたわたしが、何故まぁくんに突き飛ばされているのか、解らなかった。
わたしは尻もちをついて、まぁくんを呆然と見上げる。まぁくんは口元をゴシゴシと袖口で乱暴に拭き、ぺっ、と唾を吐き出した。そして、わたしを見下ろす彼は、
「ねね、ちゃん」
薄く笑っていた。泣きそうな表情で、嗤っていた。
「ねぇ、ねねちゃん。俺はねねちゃんがずっと好きだった。ねねちゃんの騎士みたいに、側にいてずっと守りたかった」
そう、そうだよね。わたしだって同じ気持ち。まぁくんにずっと側にいてほしいんだよ。なのに、なんでこんなことするの?
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