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「俺はねねちゃんの側にいられるように、ふさわしい男になるように、沢山頑張ってきた。身体だって鍛えたし、勉強だって頑張った。ねねちゃんが呼び込んでくるトラブルだって何回も何回も何回も、解決してきた。守ってきたんだ。なのに……」
そう、そうだよね。まぁくんはわたしの騎士。そのために彼は格闘技だって習っているし、学内の成績は常にトップだ。
それも全部わたしのためなんだよね? なのに、なんでこんなことするの?
「ま、まぁくん?」
「……君は、ねねちゃんじゃない。お姫様じゃなかった」
なにを言ってるの。わたしは、音々子――まぁくんの言う「ねねちゃん」。あなたが騎士でわたしがお姫様じゃない。
「なあ、君は今まで何回キスしてきた? 付き合ってたあいつら全員と今みたいなことしてたのか? 何人の男に抱かれてきた? もう、俺は君のことをお姫様として見れないっ。もう君をねねちゃんとして見ることなんか出来ないっ!」
そう唾棄すると、まぁくんは尻もちをついているわたしのことなんかまったく気にせずに、駆け足でその場から走り去った。
ぽつんと取り残されたわたし。
スカートの裾がめくれて色白の健康的な太腿が顕になってたけど、わたしはそんな自身のあられもない姿などまったく気にならず、尻もちをついた姿勢のまま、そのまま後ろにクタッと倒れ込んだ。
仰向けになり、少し薄暗くなった空を見上げる。
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