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周りの女の子たちが読モになりたくって必死に応募しているのを横目に、簡単に某有名雑誌の専属モデルになった。わたしはただ街を歩いていただけ。餌に群がる池の鯉のように、ほいほいと何人もの芸能事務所のスカウトが食い付いただけだった。
「へぇ、そうなんだ。興味ないし。でね、また告白されたんだ。それで付き合うことにした。今度は同じ事務所の売り出し中のイケメンモデル」
「付き合ってる大学生の彼氏は?」
「ああ、あれはとっくに別れた」
「まったく、何人もとっかえひっかえ……節操ないな」
「べっつに、気が向いたから付き合ってあげただけだし。向こうだって少しでもわたしと付き合えたんだから幸せでしょ」
わたしは美少女だ。モデルも兼任しているカリスマ女子高生。
化粧だって上手くなったし、髪型や服装だって垢抜けた。わたしは、ますますモテた。
何十回とされる告白をいちいち断るのも面倒くさくなったわたしは、適当な男の子の告白を受けることにした。
雅彦がむかし言ったような好きという気持ち――ずっと一緒にいたい、側にいたい、なんて気持ちはなかったけど、交際、というものに興味が湧いたんだと思う。
でも、付け焼刃的な、感情を伴わない交際は、やっぱりギクシャクしちゃって、上手く行かなくて、すぐに別れてしまった。
なんだか納得の行かなかったわたしは調子に乗った。それからはなし崩し的だった。
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