ねねちゃんは、とてもかわいい。

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 取り敢えず、周りが羨むようなハイスペックな――イケメンだったり、スポーツ万能だったり、頭脳明晰だったりした男子を選り好んで彼氏にしてみた。  勿論、色々試してみた。  デートしたり、手を繋いだり、ハグしたり、キスだって何回もした。流石に一線をこえることはなかったけれど。  それでも「やっぱり違うなぁ」とすぐに飽きてしまって、結果、付き合う、別れるを何度も何度も繰り返している。  今も、呆れた眼差しを向ける雅彦に、拗ねたようなアヒル口で嘯いている。 「あんまり遊びすぎるなよな。いつか痛い目見るから」 「えー、だいじょぶだよー。雅彦がいるもん」  コクリと小首を傾げ、艶っぽく彼に微笑みかける。真っ赤になって視線を逸らす雅彦。あはは、ちょろいなぁ。  いつか痛い目を見る。  雅彦から散々言われていた苦言だ。  その痛い目――たったいま、それがわたしの目の前で現実になっている。  わたしの腕を掴んで、目を血走らせてはぁはぁと荒い息を吐いている背の高い男性がいる。  わたしの知っている人だった。たしか、前に付き合っていた大学生。知的で眼鏡が似合う優男ってイメージだったけど、今は180度様相が違っている。  まるで変質者だ。ううん、実際、興奮して震えながらわたしを睨みつけているこいつは、まるでじゃない、本物の変質者だった。     
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