ねねちゃんは、とてもかわいい。

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 無意識下にガタガタと止まらない震えと、両眼から溢れ出る涙。わたしの口からは恐怖に怯えた嗚咽が漏れる。  そのわたしの強気な態度から一転した情けない姿に嗜虐心を覚えたのだろう。殴った本人は口元に薄ら笑いを浮かべ、頬を紅潮させていた。 「あ、あはは、僕のことをバカにするからこうなるんだっ」  そう言って殴る真似をした彼に、わたしは反射的に頭を抱え蹲った。怖い、怖い、怖いっ!  恐怖に支配されたわたしはその姿勢のまま殻に閉じこもる。  そしてさらに乱暴するつもりなのか、わたしの頭を強く押さえつける。痛い、痛い、痛いっ! 痛いのはもういやぁ。  助けて、まぁくん、助けてぇ! まぁくん! まぁくん! わたしのこと助けてぇ……!  心の深奥からの叫び。  わたしは生まれて初めて、雅彦――まぁくんに助けを求めていた。  わたしは蹲ったまま瞳をぎゅっと閉じていた。心で叫び、身体を震わせながら嵐がすぎるのを必死に堪えていた。  そして、その嵐は唐突にやんだ。  いつの間にか押さえつけられていた頭頂の圧迫するような痛みがなくなっていた。  嬉々とした嫌らしい怒声も聞こえてこない。ゴッ、とか、グフッ、とかそんな擬音だけが聞こえていた。  わたしの周りが静寂に包まれ――「大丈夫だったか」頭上で聞き覚えのある暖かな声が響いた。     
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