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あのあと、まぁくんはすぐに警察に電話して、目の前で伸びていた元彼を引き渡した。
事情聴取とやらはそんなに時間はかからなかった。というのも、予想外なことに元彼が素直に自分の暴行を認めたから。
駆けつけたまぁくんにボコボコに――といっても、2、3発軽く殴ったところで哀れな程に怯えていたらしいから、もはやわたしとの確執よりも彼への恐怖で萎縮しちゃったのかもしれない。今後また何かあるかもしれないけど、一先ず無事解決といったかんじだ。
「解決って……なんにも解決してないじゃないか」
「えー、なんで? もう、こんなこと、多分起きないよ」
「音々子が交際相手を取っ替え引っ替え変えてる限り、きっとまた同じようなことが起こるんじゃないか?」
「そしたら、また、まぁくんが助けてくれるでしょ?」
「俺だっていつもお前の側にいられるわけじゃないんだよ。さっきだって約束場所になかなか来ない、連絡してもつながらない音々子を心配して、家まで迎えに行ったから見つけられたんだ」
今日はまぁくんと映画に行く約束をしてたんだっけ。あんなことがあってすっかり忘れてた。
あー、予約したチケット無駄になっちゃったな。
「それより、病院、本当にいいのか? 少し腫れてきてるぞ」
「ううん、いい。それよりもさ、こっち」
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