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【棲息地帯】
モンスターがたくさんいる場所は、乗り物を使ってしか通ったことがない。
歩くなんて…蟻地獄に自ら入る蟻になった気分だ……。
そもそも、モンスターも生き物だけど…その呼称の違いは、単に昔から「共生できない生き物をモンスターと呼称されてきたから」というだけ。
因みに、狂暴化した生き物は、野生化か?進化か?で、専門家同士で話が割れてるらしい。
それから、モンスターは、同じ種類でも細かく特徴が分かれてたりする。雑種なのかな?
だから人々は、例えば兎系なら、兎系とか、兎のモンスターとか、ラビーなどと呼ぶ。
「居たわ!!」
「ええっ、どこ!?どこ!?どこだ!?」
「しゃがめ!」
キョロキョロしてる僕を、ライアンさんが引っ張って座らせた。……動揺してしまった。落ち着け… 落ち着け…
息を潜めて胸を撫でてるうちに、失った自分が戻ってきた感覚になった。冷静に周りを見ると、自分が取るべきだった行動が見えた。3人は腰を屈めて茂みに身を隠しながら、モンスターを目で追っている。
僕も少し頭を高くしながら、3人の視線の先を見てみた。あれは………鹿かトナカイのような類いのモンスターだ。
鹿のようだけど、草食で愛くるしい顔立ちとは程遠い見た目………獲物を狩る猛禽類のような鋭い目に、口からは長い牙がはみ出てる……気持ち悪い。
「キェ――――――ェッェ――!」
何だ!?頭上から聞こえた。……鷲!?とんでもないバカデカさだ……。
「まずいわ。」
「草の中を移動して、逃げながら進むってのはどうだ?」
「そうね…。」
「……他に方法は見つかりません。モンスターが居なくなるのを待つくらいです。」
「決定ね。」
「そうだな。待ったって…鉢合わないで通れる時なんて、無いかもな?」
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