【棲息地帯】

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草の中はモンスターから見えづらい。…ということは、こちらもモンスターの動きが見えづらいというデメリットがある。慎重に進んで行く。 ―――頭上から、強風がきた。巨大な鷲のモンスターが、左の方へ滑空して行ったんだ。……戻ってくる。さっきより低く感じる。 「わぁ!」 強風に体が飛ばされ、後ろへ転がった。 ……みんなは? 僕の前を歩いてたヴァイスハイトさんが、モンスターの爪に引っ掛かってる。後ろにいたライアンさんが飛びついた。ヴァイスハイトさんのリュックが破れて、ばら蒔かれる中身と2人が草地に落ちた。 ライアンさんが何か言ってる…「木のある所に行け――!!」 木?…そうか!走り出した僕の背後で、まだ何か聞こえた。振り向くと鷲のモンスターがいる、身を屈めながら転がるように必死に逃げた。 ♪――トゥルルトゥールットゥルー♪ 頭の中でメロディが鳴って、速さと運が少しレベルアップしたのを感じた。こんな風に旅人はレベル上がって行くのか……って、今はそんなどころじゃない。 枝が(いびつ)に曲がりくねった木と木の間を目掛けて滑り込んだ。 鷲は飛んで行ったけど、他のモンスターが居ないかと見回した。はぁ、はぁ…大丈夫そう。ちょっと息を整えよう。 3人を探さないと。……まさか、はぐれたら置いて行くとか……まさかね。
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