【棲息地帯】

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「おーい、無事かー?」 ライアンさんの声だ。良かった、置いて行かれなくて。 うねる枝の合間から離れて、草地で手を振った。 「此処です。無事です。」 3人と合流できて良かった。 ヴァイスハイトさんも地面に擦った軽い傷だけということで、本当に良かった。…あれ?嬉しくなさそうな表情。 「………鷲の爪が刺さって破れたリュックから、殆どの食料が落ちてしまいました。」 え―――!!! 僕は、心の中で絶叫した。 これは死活問題だ!でも、騒いじゃいけない。クールな装い、大人の男だ。 「顔色悪いわよ……エドワイズ、大丈夫?」 「え?あ…大丈夫です。」 「食料なら心配いらないわ。その辺で調達すればいいの。はい。」と、リェンさんは僕に冊子を見せて、 「またはぐれた時のために持ってなさい。」と、強引に握らされた。 冊子は、食用野草の特徴に調理方法も…間違えやすい毒草のことなどが書かれていて、便利で有難い。 「これはフル活用しそうです。ありがとうございます。」 ライアンさんが少し上を見回しながら言った。 「よーし!それじゃ、立て直しだな。」 「ですね。」と言って、ヴァイスハイトさんは胸元から、使い込まれた地図を出して開いた。 方位計と照らし合わせて、地図の向きを調整しながら、話し出した。いつものように落ち着いてるけど、いつもより早口だ。 「鷲に追われて、目的地から遠ざかりましたね……少し西に来てます。 西のルートで進めば、遠回りになりますが、モンスターの狂暴度は弱まります。 更に遠回りになりますが、分かれ道から海沿いを歩けば、小さな漁村があります。」 ライアンさんとリェンさんの表情を見ようと地図から顔を上げて、2人が周囲を警戒しながら説明を聞いてたのを知った。 慌てて僕も周囲を見張って、胸の内で反省した。 ルートは決まらず…… 戻らないことだけは全員一致して、とりあえず分かれ道まで進むことになった。
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