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港が見えてきた。
父が振り向き、僕を呼ぶ。
母が間を開けて、手招きする。
僕が真ん中に入ると、父は海を見ながら言った。
「こうして、3人揃うのは……次は何年後かなぁ。」
………そんなに先じゃないよ…。と、心の中で言った。
歩くのとか苦手だし、モンスターと戦うなんて絶対無理。
次の行き先でパーティーから抜けて、その町で仕事を探そう。……って、これ、大丈夫かな?なんだか、町まで送り届けてもらうために 3人を利用してるみたいな………僕、詐欺師みたいになってないかな……。
「エドワイズ?どうした、黙り込んで。」
「父さん……。」
「寂しいのね。私も、久しぶりに1人になるわ…。」
ぼーっとしたまんま、船着き場まできた。
なんとなく 父の背中を見送っていて、ハッとした。
もし……もしも!モンスターに殺られたら、これは今生の別れかも知れない!
「父さん!」
「おう。船に乗りたくなったか?」
「え……。」
「コイツは、いずれは お前の船だ。焦ることないさ。やりたいことを経験した後でいいんだ。
苦労するだろうけど、気持ちで負けるな、楽しむんだぞ?」
「……父さん。」
あの力強さには及ばないけど、僕も同じく笑顔を返して、両腕を振って見送った。
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