【出発】

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町を出て、2時間半は歩き続けた。ひたすら歩く。 3人は、景色を堪能したりお喋りしたりと余裕があって、どこか楽しそうだ。 ライアンさんが「ちょっと休憩するか。」と言ってくれて、僕は大きく枝を張った木の下に寝転がった。はぁ…キツイ。 リェンさんが覗き込んできた。 「あんた、意外と歩くの早いのね。護身用に剣を持ったら?はい。」 「え!?……あ…。」 (さや)にも細工がされていて、高そうな剣だ。 どうしよう。有難いけど、扱えない。 「ほら。」と言って、リェンさんは剣を持つ腕を更に伸ばして、僕の胸元に押し付けた。 ライアンさんが、僕の横に座って教えてくれた。 「遠慮は要らんぞ。前に共に旅した勇者の、遺品だからな。」 ………そんな大切な物を。 「僕は、武器なんか扱ったことがなくて……」 「俺が教えてやるさ。」 その言葉に、両手を出して剣を受け取った。 「重ッ!!」 胸にズシッとくる。リェンさんは軽々と持ってたのに。僕、そんなに力無いかな……情けない。 「――って言うか、こんな重い物、ずっと持って歩くんですか!?」 「はぁ?…当たり前だろ。」 「あの…嬉しいけど、重いし、荷物になるし、やっぱり遠慮します。」 「はぁぁ!?」 ライアンさんの強面が、更に怖い顔になった。 ヴァイスハイトさんが なだめるように声をかけてくれた。 「まぁ、訓練も無しで来た訳ですし。焦らずに行きましょう。」 「…そうだな。」 と言って、ライアンさんは腰に剣を着けた。 背中には それより長い剣を背負ってる………重いんだろうな。
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