6.中間考査

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その後、気まずい俺達の元にジンヤー先輩とマクちゃん先輩、他数人の風紀委員がかけつけた。 俺のダメージすぎるファッションと、ジンヤー先輩を見ても飛び寄ってこない国江くんを見て風紀委員達は大層驚いていたが、ジンヤー先輩に睨みつけられ、そそくさと空き教室内に入っていった。 「大変だったね永。大丈夫?」 「えーん、怖かったよ〜。あ、でもマクちゃん先輩がヨシヨシしてくれたら大丈夫です。」 「あはは、大丈夫そうだね。」 さぁいつでもどうぞ!と両手を広げる俺に、優しく上着をかけてくれるマクちゃん先輩。 優しい。優しいけどヨシヨシはしてくれないのね。でもアタシ、そんなつれない所も好きっ! そして大天使マクちゃんの後ろで、すごいオーラを出しながらこちらを見ている我が風紀委員長様。 すごく気になるけど、なにこれ触れないといけない? まぁ落ち着け。触らぬ神に祟りなしと言ってだな。 「国江、お前怪我はあるか。」 神は触らなくてもあちらから触れてくるようだ。 しかし、機嫌悪いオーラとは裏腹に、通常どおりのトーンで話をするジンヤー先輩に面を食らう。 「い、いえ、俺は大丈夫です。怪我は無いです。」 「そうか。とりあえず事情聴取をするから、お前ら2人は風紀室に来い。相川はその怪我と服どうにかしてから来るように。」 「流行りですよ。ダメージでオシャレでしょ?」 「上着だけでアンバランスだな。バランスをとって下も破いてやろうか。」 「エンリョシテオキマス」 見た限り、大変不機嫌なオーラなのだが、冗談が通じるというなんとも不思議な現象だ。 まぁ機嫌が悪くないに越したことはない。 俺はとりあえず顔の怪我を治療すべく、保健室に向かった。 保健室に着くと、保健室の先生が大層びっくりした様子で俺を出迎えてくれた。 とりあえず怪我は頬に殴られた所だけで、あとは明日全身筋肉痛になるぐらいだと伝え、手当をしてもらう。 時刻は1時半。ちょうど5限が始まる時刻だ。 スマホを見ると周やコバたちから概ね心配のメールが届いていた。 とりあえず、要約すると『風紀委員の仕事で遅れて授業参加』という返信をする。 手当が終わると、制服は学校の予備を貸してもらい、遅れて怒られるのも嫌なので足早に風紀委員室に向かった。 風紀委員室に着くと、ちょうど国江くんと出入口ですれ違った。 おそらく、先に事情聴取を受け終わったのだろう。 おつかれ、と声をかけると何か言いたげな様子で俺の方を見たが、国江くんが何か言う前に風紀委員室にいるジンヤー先輩からお呼び出しを受けた。 はて、国江くんはどうしたのだろうか。 聞きたいようで聞きたくない。『余計なことすんなよ、面倒事になったじゃないですか』とか言って来そう。
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