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「新入生歓迎会……」
片肘をつきながら、書類に目を通す。
いかにも俺が泣いて喜びそうな王道行事だが、うちの学校の新入生歓迎会は王道BLであるような、そんな大したものじゃない。
毎年やるとしても2、3年生の代表挨拶の次に部活動や委員の紹介、最後に1年の代表挨拶で終わりだ。
新入生歓迎会と聞いてめっちゃ期待していた、1年生の頃の純粋な俺の気持ちを踏みにじりやがって。
その日は悔しくて夜も眠れなかった。
おかげで朝はぐっすりだった。遅刻した。
それにしても、あのちゃっちい新入生歓迎会だけでこんな立派な書類の山が出来るのだろうか。
大丈夫?他の人、さりげなく俺に押し付けてない?
「ちょっとマクちゃん先輩、新入生歓迎会の資料多くないですか?あんな地味行事に何をこんなに気ィ張ってんだか」
「あぁ、今年の新歓が色々変わったの言ってなかったっけ」
「え?なんですかそれ、初耳です」
「毎回地味すぎるっていう意見が多かったから、2、3年生にアンケートを取ったんだよ。永はその日のHR居なかったの?」
なんだそれ、知らない。
そんなものがあるなら、鬼ごっことか鬼ごっことか鬼ごっことか書きたかったのに。
ちくしょう、そんな大切な時に、一体俺は何をしていたんだ……!
「その日は朝から、相川にサボり分の仕事を消化させていたからな。」
テメェのせいかよ!!!ジンヤー大魔王!!!
「大魔王めぇええ」
「誰が大魔王だ」
大魔王め……。でもこれ以上は怒られそうだから黙る。
ちくしょう、言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズン。
俺とジンヤー先輩とのケンカに近い会話を、くすくすと笑いながら聞いているマクちゃん先輩。
その姿はさながら聖母様である。
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