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軽く引いているジンヤー先輩。
失敬な。鬼ごっこ大成功のためには残業も惜しまないぞ。
「……と、そろそろ朝のHRが始まる時間だね。せっかく永がやる気を出したところだけど、とりあえず学生の本業に励まないとね」
マクちゃん先輩のその一言で、委員達がバラバラと部屋から出ていく。
俺は出る前に休み時間にでも仕事を消化しようと、書類の山からある程度引き抜いてカバンに入れる。
「そうだ永、この書類周太郎に渡しておいてくれない?」
部屋から出ようとするところでマクちゃん先輩に呼び止められた。
周太郎とは、2年の風紀委員だ。
そういえば今日は風紀委員室にいない。
まさかサボりか、鬼ごっこを前になんて奴だ!
しかし、マクちゃん先輩の頼みだもんね。
そんなに手もかからないし、別にいいけど。
「いいですよ、急ぎですか?」
放課後の業務時間に渡さず、わざわざ俺に頼むということは急ぎの書類だろうか。
「いや、今日の委員会は来れないと連絡が来ててね。永は周太郎と同室だろう?今日中に渡してくれればいいから。」
「あぁ、わかりました。渡しときますね」
大きな封筒に入った書類だ。
書類を俺に渡したマクちゃん先輩は、別の委員に声をかけられ、そちらに対応する。
普段から思っていたが、マクちゃん先輩が風紀委員副委員長でよかったのではないだろうか。
俺の立場よ。
受け取った書類を丁寧に鞄にしまい、ダラダラと教室に向かう。
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