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先生は、腕に巻かれた時計のような装置をタッチした。
その瞬間、俺は驚いた。
服を着ていたはずの先生が全裸になっていた。
そしてもう一度タッチすると、忽ち服を着た先生になった。
しかもさっき着ていた服と違う服だ。
俺のいない10秒で、いや、30年の間に凄まじい勢いで科学は進歩した。
「南くん、これが何を意味するのか分かるか?」
さあ?
「本当の脱衣麻雀が出来なくなったという事だよ!!南くん!?悔しいよな!だって牌握らせても服着てないから脱がないんだよ!!効果ないんだよ!!畜生!」
介護はどうした?やっぱりそれか。
しかしどっちの脱衣麻雀のこと言ってるのかわからなくなってきた。まったくややこしい。
「先生……心中お察しします。ですが先生もスッカリお年を召された。失礼を承知で言いますが、随分と耄碌されたご様子です。さっきからずっと一人で喋ってますし、本当に俺を覚えていますか?」
「何を言うか、南くん。我がラボで同じかまのあなをほった仲じゃないか!」
ほら、ダメだ。
「では言いますが、なぜ俺が『南』なんですか?」
「股間に『南』あり!だからだよ。他に理由があるか!」
気がつけばいつのまにか、また、全裸に戻っていた。
股間がアツい。
結局、失敗作か。
「それは……なん、となく。なんとなくです。」
「では君はいったい誰だ?」
「……『東』です」
俺は左乳首をさすった。
「知らん!南くんでないなら出て行け!」
はぁ~。
タイムマシンが出てくるまでもう一度眠りたい。
END
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