【8 sins】

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と? どういう、こと? 「そう、八人目、君のことだよ」 と? お父様? 「七人の姉妹のすべてが、欠陥品であるのに、自分は違うと?」 と? 「ああ、そう言えば、そうだった」 と? 笑顔のまま? 「『疑念』、あるいは、『疑い』、それが、君の欠落だったね」 と? 「だから、君に頼んだのだったね」 「『疑念』、『疑い』に相対する、反概念は、『狂信』、あるいは、『独善』だからね」 「君は、まさに、それそのものだったね」 「そして、そんな君は、こちらとしては、まったく、都合の良い存在だったよ」 と? そして。 ーー神様は。 「君のおかげで、また、ゼロから始められる、実験を、ね」 と。 そして。 そのひとは。 そのままに。 小銃の 引鉄を。 ねえ。 お父様。 ひとつだけ。 これが、私にとっても、もっとも良い、結末だったのかな? それとも、そんなふうに、思えてしまうこと自体が、私の、『欠落』、なのかな? ねえーーどちらなのかな? ーーねえ。 ねえーーお父様。 もう、聞こえないけれど。 もう、見えないけれど。 でも。 微笑んでくれているのよね? だって。 信じている。 私。 信じているのだもの。 ねえ。 お父様。 fin
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