改善案

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僕はやっとの思いで、この大手食品スーパーに就職して、かれこれ3年になる。 就職難と言われた時代に、まさしく奇跡だった。 ここでは勤務3年以上になると、改善案を上に提案出来るシステムがある。 上手く採用されれば、社長賞ものだ。 僕はこのシステムの為に、辛い仕事も真面目にこなして来た。 そして僕は、初めて改善案を主任に提出した。 「食品以外にも、品目を増やしてニーズを広げれば、より多くのお客様を獲得出来るのではないでしょうか?」 すると主任は「うん、そういう時代かもな。よし、課長に報告しておこう」と太鼓判を押してくれた。 主任は課長室に向かった。 「売り場の松田君からの意見なんですが、食品だけでは物足りないらしく、品目を増やしてみてはどうかと…」主任はそう切り出した。 すると課長は「何だ?食品だけでは、うちは潰れると言うのか?」と睨んできた。 「いや、一応意見として上に報告をと…」主任は慌てて頭を下げた。 そして課長は、部長室をノックした。 「売り場の松田君からの意見なんですが、何でも経営に文句があると。いつまでも食品ばかりにこだわるのは、経営陣として如何なものかと…」 すると突然、部長が机を叩いて怒鳴った。 「君は私どもを侮辱するのかね!」 課長は慌てて「い、いや、これはあくまで売り場の松田君の意見でして。どうか上にご報告を」とハンカチで汗を拭った。
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