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「規律を守るはずの鬼が、ここ最近になってその力を使って他の妖の領域にまでしゃしゃり出てきていたんだ。みんなずっと迷惑してた。だから、あんたら親子のいざこざを利用させてもらったってわけ」
浮かべてる表情とは逆に冷たい口調をしている。
「十二の妖の洗礼を受けた他種族の代表ともいえるお前が、鬼のトップを下したんだ。これで長年蔑ろにされていた多くの種族の妖たちは、鬼の支配下にいないで済む」
「春海の目的は最初からそれだったのか?」
母の願いどおり親子の殺し合いを止めたかったわけではなかったのか。
「ああ、そうさ。今まで護ってやった恩はこれでチャラにしといてやる」
今までどんな時も盾になろうとしてくれていたのは、この時を迎えるためだったというのか。
ここに一人で乗り込んで来たのは、そうすればオレが意地でも追ってくる性格だと解っててのことだったのか。まんまとオレは予想通りに動いてしまったということなのか。
「なんだよそれ」
春海がはじめてこっちを向く。その顔は無表情で何も読み取れない。
「あの歌には続きがある」
そう言ってあの子守唄を歌い出す。
鬼は人間より優れていると考えてる
狼男は自分は人間だと思ってる
フランケンは人間になりたいと願ってる
人間はそんな妖たちのことを知らない
昔聞いた歌にワンフレーズ増えている。
「それが正しい姿なんだ」
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