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「……パパってあんなに恐い人だったのね」
「え?」
「凄い暴れたのよ。誰も止められないくらい」
「すっかり昔のレキに戻ったようだね……」
春海がやっぱりねーというどこか諦めたような顔をする。
そういえばオレが生まれた時も十二の妖で止める程暴れたんだっけ。
「好き放題されてたことを怒って、茨木童子たちを地深くに追いやったわ。彼らも深手を負ったみたいだから暫くは大人しくしてるでしょうね」
まぁ怒るのも最もだとは思うが、自分にも非があるのだから、そこまでしなくてもと思わなくもない。
抜け殻の状態でどうして再婚し子供が出来たのかという疑問には春海が答えてくれたのだが、どうやらそれも茨木童子の策略によるものだったようだ。
操り人形とし利用しようとしていた酒呑童子には、最強の鬼という名声があるものの、人と契りを結んだことでその権威が落ちていた為、由緒ある家柄の鈴鹿御前と婚姻を結ばせ権力を取り戻させたのだ。
「大変そうだな」
「うん。でもまぁ、あたしのことを見えてなかった頃に比べたら全然いいわよ。ママも茨木童子たちに利用されていたに過ぎないから、記憶がないにしても、あたしは娘であることには変わりないって言ってくれてるの」
「そっか、よかったな」
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