エピローグ

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 心底ほっとする。きっと母も安心していることだろう。  立夏が上目遣いでジッと見てくる。 「なに?」 「……パパは、あなたのことも心配しているわよ」 「え、オレを?」 「今までのことを考えるとまだ会わせる顔がないみたいだけど、あなたのことを考えてる度合いは以前と変わらないかも」  "殺したい"よりはずっとマシかもしれないが、主犯格であった酒呑童子の目が覚めた今、なにを心配されてるんだ? 「どういうこと?」 「ブラウンズヴィル・オーガの支配が無くなったから、みんな他の種族がやりたい放題なのよ」 「ああそれは、君は知らないだろうけど、それが本来の妖界の姿だよ」  春海が取り戻したかった鬼たちから解放された妖界というやつだ。 「でも最近、天狗や猿人が、半妖風情が最強の鬼であるパパを倒せるなら、自分たちにも出来ただろうってほざいてるの。それを証明してやるって、パパを下した半妖を倒そうと息巻いてるわよ」 「え……」  えーと、その半妖って。 「プライドの高い人虎も動き出すだろうって、パパが言ってた」  おいおいそれはマズいんじゃないか、春海?  春海を伺うと、何とも言えない顔をしている。 「組織でも恨んでる人は多いし、くれぐれも気を付けてよね、お兄ちゃん」 「え!?」     
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