9人が本棚に入れています
本棚に追加
その前の話の内容にも驚いたが、それ以上にビックリした。
今、お兄ちゃんて言ったか。
春海も目を丸くしている。妹萌えとか言い出すんじゃないだろうか。
「な、なによ。パパがあなたのことを息子として認めてるのに、娘のあたしが、あなたを兄と認めないなんて意地張ってもおかしいでしょう!?」
まぁ、確かにそう言われてみればそうだ。だけどなんだかこそばゆい。
父すら他人として扱わなきゃやっていられない状況だったのが、急に手のひら返すように、息子よ兄よと心配される。こっちにもそれなりの準備ってものが……。
戸惑ってるうちに、彼女をすっかり膨れっ面にさせてしまった。
「帰る!」
「おぉ、気を付けろよー」
春海は可笑しそうに腹を抱えながら手を振る。こっちの心境なんてお構いなしか!
「レキさんには、もうあまり気にしないでくれって伝えてくれるかな」
あまり考えていられるのも居心地が悪いというものだ。それが心配の気持ちだったら尚の事。
「わかったわ」
「ありがとう、またな」
立夏は廊下に出てそのまま消える。
短い時間だったが出したお茶は全部飲んでいったし、人間界のお菓子にも手を出してくれていた。彼女なりに近付こうとしてくれてるようで、素直に嬉しい。
最初のコメントを投稿しよう!