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「眠り姫かよ!」
ハッと思い出してツッコミを入れるが、春海は真剣に語るのをやめない。
「うん、オレもあとでその物語を知ってね。眠りについたお前を起こす方法に気付いたんだよ」
「まさかだよな?」
「そのまさかさ。王子のキスで目覚めっぶふっ……」
赤飯用のごま塩を振りかけてやる。
最後まで言わせて堪るものか!
「……てめぇが一生の眠りにつけ!」
やってから、しまったと思う。テーブルの上がごま塩だらけだ。
「うん、まぁ、冗談はさておいて」
「どこまでが冗談だかわかんねぇよ」
苦笑しつつ二人でごま塩をかき集める。春海の前髪にごまがくっついたままだが黙っておこう。
「お前の生まれる時に十二の妖が集ったのは本当だし、十三人目の妖が邪魔しに来たのも本当。でもそこでお前に呪いをかけにきたんじゃなくて、殺しにきたんだ」
生まれる前の話であるが、あまり気分のいい話ではないな。
「『こいつは世界に破滅をもたらす。成人する前に殺さなければならない。』ってな。当然そいつは十二人に一瞬で消されたけど、それははじまりに過ぎなかった」
消されたって……、正当防衛ってやつだよな。妖の世界の法律ってどうなんだろう?
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