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Extra edition 追憶の死霊遣い《ネクロマンサー》
「先生って元祓師なんだって?」
セツが美味しそうなタコさんウインナーを箸で摘まみながら聞いてきた。
彼は毎日お昼のお弁当を保健室に、わざわざ食べに来る。はじめはクラスに友だちがいないのかと心配したが、そういうわけではないようだ。もしかしたら一人寂しくパンを囓るオレに気を遣ってんじゃないかと、最近気付いたが、敢えてそう断るのも惨めなので何も言えない。
同情するならオレの分の弁当も作ってくれ、とそのうち漏らしそうだ。
「あん? 丙に聞いたか?」
「うん」
丙のやつ、よくオレのこと話す気になったなと感心する。
オレが祓師であったことを話したということは、オレが武中の人間だったことも話したはずだ。
丙という武中の人間がこの高校に入学してきたと気付いた時、正直気まずいと思った。だが、向こうが分かり易いくらいあからさまに避けてきたので、逆にこちらに余裕が生まれた。
そのままオレと関わらないでくれればいいと思っていた。保健室など多くの生徒が一切使用せずに卒業していくのだ。丙もその一人であれと。
だがセツという半分人間で、半分鬼である存在が、そうはさせてくれなかった。
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