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暫く頑張ってみたが、なんとなくキーボードに打ち込む手が止まる。
オレが、実際に死霊を使ったのは一度きり。
そう、あの頃オレたちも、セツみたいに祓いの技を我武者羅に勉強していた。もっともっと強くなって、一匹でも多くの妖を祓ってやると意気込んでいた。
その熱意がどこから生まれてきたもので、いつ失ってしまったのか、今になってよく解る。
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「小雪ー!」
その姿を目に捉えてすぐに、嬉しくなって思いっきり呼び掛けた。
相手もパアッと表情を明るくして大きく手を振って答えてくれる。
「清明!」
「早かったな」
駆け寄って労いの言葉をかける。
「担任が休みだったから、ホームルームサボっちゃった」
「わるいやつ」
小雪は一番歳の近いいとこで、幼い頃から祓師として互いに影響し合い、高め合っていた。元より気が置けない存在だったが、中学生の時から付き合うようになった。
少し離れた高校に通っていたので、毎週金曜の学校終わりに会うことにしていた。
「この間ね、暦さんっていう祓師に逢ったの」
「同業者!?」
話には聞いたことがあるが、実際祓師には領分があるらしく、かち合ったことがない。
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