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オレにはなんでもはっきり言う子だったので、その時は珍しいと思いつつも踏み込んで聞かなかった。
それを後にとても後悔する……。
「まぁオレなりには頑張るよ」
その時のオレは、自分の態度に嫌気がさしてきたんじゃないかと少し心配し、そう添えた。だが彼女は、オレの取り繕ったような頑張るにさえも、とても嬉しそうに笑ってくれた。
「ね、ね、」
「ん?」
彼女のあたたかい唇が、自分の唇を塞ぐ。まだキスはくすぐったい。
顔を見合わせて照れ笑い。
応援されたような気がして、もう少し頑張ろうと思った。
「小雪が、死んだ……?」
昨日の昼から六白兄さんと他二人の武中流の祓師に着いて、小雪が祓いの仕事に向かった。
当主の意向により数人で組んで祓いに行くことは珍しくない。小雪が兄さんに着くこともよくあることだったが、最近は嫉妬してしまってあまり詳しく聞かないでいた。
夜遅くになって六白兄さんが憔悴した様子で帰ってきたので、出迎えた家の者たちに混ざって、強い妖だったのかと尋ねてみた。
すると、オレの顔を見た兄さんの表情が凍る。
嫌な感がして詰め寄ると、彼は震える声で小雪が死んだと告げた。
「ど、どういうことだよ!?」
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