Extra edition 追憶の死霊遣い《ネクロマンサー》

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 オレが知る中で妖退治で人が死ぬのははじめてだった。昔の話として聞いたことがあったが、あくまでも史実であって、それが現実に起きることだとは思っていなかった。  自分が祓いに行く時も、危険だなとヒヤヒヤすることはあったが、死の恐怖は感じたことがなかった。  だから、兄さんの話に現実味が持てなかった。  途中で事故にあったのか? 具合でも悪かったのか? 死んだ? 死ぬってなんだ? 頭の中がぐるぐるしている。小雪は? 今小雪はどこにいる?  バタバタと周りが慌ただしくしていたが、自分だけまだ時間が止まっていた。  兄さんもオレが落ち着くのを待っていたんだと思う。  だから、帰ってきたくせになんでまだ玄関に突っ立ってるんだと、背後から声が掛けられた。  なんでだっけ、とオレはなにも考えられなくなっていて、ただ呼び掛けられたかなと思って振り向く。 「六白、お前が着いていながらなんて様だよ」  眉間にくっきりシワを寄せた母さんがそこに立っていた。  六白兄さん? そうだ、兄さんが帰ってきたのを出迎えて、それで……?  兄さんをみると、口を引き結びオレをじっと見ていた。元より寡黙な人だったが、今は一段と言葉を発するのが重そうだ。 「……」 「許嫁も護れないとは、そんなんじゃ武中を継ぐのはいつになるんだい!?」 「え……?」  母さんの諌める声に、意識がふっと舞い戻った気がした。     
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