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「許嫁って、どういうこと?」
「ああ、清明にはまだ言ってなかったね。小雪は、六白の嫁にきてもらう予定だったんだよ」
頭にガツンと衝撃を受けた気がした。心臓の音が頭の中から聞こえるみたいだった。
そんな話、オレ聞いてない。
「それ、小雪は知ってたのか?」
「当たり前だろ。向こうの承諾も得た上での今回の祓いだったというのに」
そんなのオレ、聞いてない……。
「小雪は? 小雪は家に帰ったの?」
死んだという話をまだ受け止められておらず、聞いた話がどっかにいってしまっていて、小雪にどういうことか直接聞きたいと思ったのだ。
母さんが哀れみの目で見てくる理由がわからず、兄さんに急かすようにして聞く。
「なぁ、小雪は?」
「清明、小雪は死んだんだ。もう話すことは出来ない」
どうしてだろう、六白兄さんの言葉が耳に入ってこない。
「六白早く着替えてきなさい、小雪の家にお詫びに伺うわよ。清明は放っておきなさい」
母さんに促されて、兄さんは漸く家に上がった。
すれ違い様にふわりと小雪の香水が薫る。オレが今年の誕生日にプレゼントしたものだ。
思わず振り返って、驚愕する。
兄さんの服に血が付いてる。少量ではない。べっとりと染み込むように黒ずんでる。
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