Extra edition 追憶の死霊遣い《ネクロマンサー》

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「わざわざ取りに戻ったのか?」  そういえばいつも洗って帰っていたな。今日はギリギリで食べ終わり、片付ける暇なく慌てたものだから忘れたのだろう。 「置きっぱでも良かったんだけど、一日置くと臭うだろ? 春海がそーいうのうるさいんだよね。主婦かっての!」 「ああ、まぁ犬だから尚更かもな」  今ピンときてしまった。もしかして冷蔵庫とレンジと水道完備だから保健室にくるわけか!  うん、賢い奴だ。 「あ、そうだ。先生、狼と狐って気が合わないって話聞いたことある?」 「いや?」  生態ピラミッド的には狼が頂点捕食者でその下に狐が位置するとか、グリム童話の狼と狐ではずる賢い狐が生き延び意地汚い狼は死ぬだとか、そんな微妙な関係だよな。 「昨日儀鳳が夕飯食べに来たんだけどさ。あ、いつものように神出鬼没でね」 「そしていつものように春海とモメるわけだな」  儀鳳という狐の妖怪とはオレも一度逢ったことがある。あれからセツの家に度々来るという話も聞く。 「そうそう。儀鳳はそれも愉しんでるっぽいんだよな。でも、目的がよくわかんなくてさ。なんでうちに来るんだろ」 「お前に胃袋掴まれたんじゃないの」 「なにそれ」 「冗談だよ、そんな目をするな」     
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