セカンド プロローグ

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セカンド プロローグ

 カキーンと真芯に当たった音が校庭に響き渡る。 「いったぞ、セツ!」 「おー!」  このくらいのフライは野球部でなくてもそれなりにスポーツが出来る奴は取れる。かくいう自分も球技全般得意な方なのでキャッチできる自信があった。  ある程度落下地点を見極めてそこまで走り、空を見上げて手を構えオーライオーライしてるところで、視界の端になにかが横切った。 「げ……」  思わず気がそちらに逸れてボールをポロリと取りこぼす。決して下手な訳ではない。 「おーい、なにしてんだよ」 「どした、セツ?」  クラスメートたちが非難と心配の声を掛けてくる中、未だに視界の中にチラつく存在に意識が囚われる。  このままここに居たらマズい気がする。 「悪い、貧血つっといて!」  えーとかおいとか不満気な声を背中で受けながら、貧血の人間とは到底思えないスピードで校庭を駆け出る。  そうでないと追い付かれてしまう。  なににって、人ならぬ者に!  追ってくるのは黒いモヤのようなもので、その正体までは今の状態ではわからない。  人目につかない場所を探して全速力で校内を走り回る。  オレは、彼らのことを何も知らない。  自分も彼らと同じだっていうのに。     
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