9人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの時は君を助けるのにも精一杯な状況でね。おじいさんたちは残念だったけど、薄々君の正体に気付いていたようだったからよかったよ」
そこで、残酷だな、と思ってしまうのは、やはり半分人間だからだろうか。
それを見抜いたのか、春海は複雑な顔をした。
「いい人たちだったけど、妖とは全く縁がなかったから、きっと君のあの姿をみたらどうなっていたかね」
考え方は古い人だったから、妖怪とかは信じていたかもしれない。もしあの場に居合わせていたら腰を抜かしていたことだろう。
「……お前のじいちゃんは、人間なのか?」
「じいちゃんも狼男だよ。本当の祖父にあたる人ではないんだけど、ずっと人間界で暮らしてる仲介者でね。君のことをサポートしてるひとりだよ」
あのじいちゃんもそうだったのか。全然気が付かなかった。
「狼男は人間界で暮らして長いからな、そういう調整も効くわけ。ひとつ上の学年にしたのは、一足先に学校を掌握する目的と、ずっと一緒にいるのもお前の為にならないからな」
「学校を掌握って、お前なにしたんだよ……」
ジトっとした目付きをしてやると、焦ったように笑った。
「あ、ヤダなぁ。人間にはなんにもしてないって。妖はみんなプライド高いから、自分たちよりも劣ってる人間には害を与えないよ」
最初のコメントを投稿しよう!