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武中丙、彼の宝剣がオレの足に巻き付いた妖のからだを切り離したのだ。
「そもそも面倒ごとの元凶がオレなんでね」
巻き込まれてる感は否めないがな。
「そうだったな」
そう言って手を差し出してくる。
「お前も授業中だろ、丙」
その手を取って起き上がると、春海が体操着についた土を払う。
「祓屋として、校内で妖の気配がしたというのに、放って置くわけにもいくまい」
同級生の武中丙は、妖を祓う祓師という特殊な仕事をしている。武中家は桃太郎の家系のため、鬼であるオレとは相反するわけだが、半分人の血が流れ人として生きてきたオレを一括りに鬼と決め付けず、今後見張ることで見逃してくれた。
妖がブルブルと身を震わす。
「しつこいな!」
「作戦会議室に身を隠そう!」
作戦会議室というものに心当たりがなく、頭上に疑問符を浮かべながらも春海の後について行く。途中で思い当たって速度をあげる。
作戦会議という名の保健室にぞろぞろ入り込む。
「おいおいお前ら揃って授業はどうした」
当然中に居た保険の清明先生が眉根を寄せる。
「先生不在のため自習でーす」
「お前ら全員クラスが違うはずだよな……」
呆れ気味に呟くがそれ以上先生は我関せず。
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