9人が本棚に入れています
本棚に追加
なぜなら先生はオレの正体を知る数少ない人間で、オレが妖に狙われていることも知っている。
カーテンを引いて校内で片付ける作戦を練る。
「よし、この段取りでいくぞ」
「鮮度のいい死体ならいつでも待ってるぜ、特に妖のは大歓迎」
ちなみに先生の裏稼業はネクロマンサーだとか。
「殺さないから!」
外に出るとまだ妖がウロウロと空を飛んでいる。オレを見つけるとすぐ追っ掛けてきた。
また追っ掛けられてる自分にうんざりしながらも、走るのはやめられない。
何故なら今、オレが囮になっているからだ。
オレを追う妖のその背後から春海が追い掛ける。挟み込まれたことに妖も気付いたようだが、その時には予定通りまんまと部室棟裏に誘い込んでいた。
「鬼さんこちら手の鳴る方へ、ってね」
鬼はオレの方だけどな。
「丙!」
鬱蒼とした木々の間に隠れていた丙が立ち上がってこくりと頷く。
丙がぶつぶつと謡いだすと、妖の足元の地面に事前に描いておいた陣が、微かに光り出すようにして浮かび上がる。
「すげ」
強力な陣で妖が動きを止め、苦しそうに唸る。
妖を挟んで向かい側にいる春海も、うわー痛そーという顔をしている。
先程までオレを睨んでいた妖が、グググと呻き空を見上げだした。
「よし、解放して!」
オレの合図で丙が謳うのを止める。
最初のコメントを投稿しよう!