9人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわーじゃあ次もオレ連れてってよ! 次もなんかあったらオレのせいだと認めてやる!」
来た道を戻り、バスを待ち、駅に向かう。丙の家の最寄り駅に着いた時、丙はタクシーを使うからここまででいいと言ったが、ここまで付き合ったんだから最後まで送らせろと押問答し、渋々といった感じで進む。
暫く彼の道案内で進んだところで、突然丙は立ち止まる。
「どうした?」
「これ以上うちに近付かない方がいい」
「え、なんで?」
丙は一瞬面喰らったような表情をみせる。
それでも彼の言いたいことが思い当たらない。
「最初に会った時言ったはずだ。うちは桃太郎の子孫だと」
「……あ!」
丙には申し訳ないが、すっかり忘れていた。
丙自身は悪さをしない妖は見逃すという構えだが、丙の家自体がそうとは限らない。
「でも、歩けるか?」
「すぐそこだ。無理なら家の者を呼ぶ」
「そっか。じゃあオレ退散するな」
ここは丙の言うことに従った方が良さそうだ。
「ああ、悪かったな」
「おだいじ……」
「鬼め! 我が武中家に何用だ!」
突如その声は頭上から降り注いだ。
ぎょっとして見上げると、塀の上に立った老齢の女性がこちらに睨みを効かせている。その手には勇ましくも薙刀が握られている。
「うわ」
「お祖母様!?」
流石に丙も珍しく驚いた声を上げる。
最初のコメントを投稿しよう!