一.師匠の家で《グランドマスターズホーム》

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「うわーじゃあ次もオレ連れてってよ! 次もなんかあったらオレのせいだと認めてやる!」  来た道を戻り、バスを待ち、駅に向かう。丙の家の最寄り駅に着いた時、丙はタクシーを使うからここまででいいと言ったが、ここまで付き合ったんだから最後まで送らせろと押問答し、渋々といった感じで進む。  暫く彼の道案内で進んだところで、突然丙は立ち止まる。 「どうした?」 「これ以上うちに近付かない方がいい」 「え、なんで?」  丙は一瞬面喰らったような表情をみせる。  それでも彼の言いたいことが思い当たらない。 「最初に会った時言ったはずだ。うちは桃太郎の子孫だと」 「……あ!」  丙には申し訳ないが、すっかり忘れていた。  丙自身は悪さをしない妖は見逃すという構えだが、丙の家自体がそうとは限らない。 「でも、歩けるか?」 「すぐそこだ。無理なら家の者を呼ぶ」 「そっか。じゃあオレ退散するな」  ここは丙の言うことに従った方が良さそうだ。 「ああ、悪かったな」 「おだいじ……」 「鬼め! 我が武中家に何用だ!」  突如その声は頭上から降り注いだ。  ぎょっとして見上げると、塀の上に立った老齢の女性がこちらに睨みを効かせている。その手には勇ましくも薙刀が握られている。 「うわ」 「お祖母様!?」  流石に丙も珍しく驚いた声を上げる。     
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