一.師匠の家で《グランドマスターズホーム》

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「血縁的にはそういうことになるが、絶縁したからな。我が家とは無関係と考えてくれていい」 「絶縁?」  それはどこかで聞いた話だ。 「壬はな、家督を継ぐべき者だったが、突然祓いの仕事から逃げたのさ」  じいちゃんも祓師だったのか?  春海が、祖父母は妖とは無縁の人たちだったと言っていた覚えがある。 「あれ、でも母は祓師だったと聞いてます」  どこかに弟子入りしていたと考えるよりは、じいちゃんに教えてもらっていたと考えた方がしっくりくる。  祓いの仕事から逃げたわけじゃあないのかも。その立場から逃げたのかもしれない。 「逃げた癖に結局逃れられなかったのだろうな。妖祓いとはそんなものだ」  妖が人に悪さしているのが見えてしまえば、止める力があるのに見て見ぬ振りとはいかない。  娘にもその力が遺伝していることに気付けば、それについて教えないわけにはいかない。  もしかしたらじいちゃんは、オレの正体にも気付いていたのかもしれない。妖気を封印されていたとしても、常にオレのそばには狼がいた。 「?」  あれ、なんか身体が重い気がする。  掴もうとした湯呑みを倒してしまう。中身のお茶が畳の上に広がる。すいませんの声も出てこない。 「お祖母様っ!!」  丙がまた非難するように叫ぶ。     
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