一.師匠の家で《グランドマスターズホーム》

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「悪いようにしないと言ったのは私だけさ。甲たちが何をしようがそれは彼らの意思だろ」 「兄さん! セツはオレの友だちなんだ!」  丙が立ち上がって怒鳴る。  ああ、ごめん丙。帰れって言われたのにな。  なんか仕掛けられたみたいでこのままではマズそうだ。 「丙兄さまは鬼とお友だちだと?」  女の子の声がする。でも頭が上げられないので見つけられない。  これは丙の兄と妹に祓われそうになってるのか?  それは困る。 「セツは人間だ!」 「人間? お前は騙されてるんだよ。見ろ、本来の姿がみえてきた」  嘘だろ。鬼の姿が出てきてしまってるとでも?  いや、それは寧ろチャンスかも!  目を瞑って知ってる景色を思い浮かべる。  それが思いの外、簡単に出来た。これで妖界に逃げられる。丙には悪いがここはひとまず、逃げるが勝ちだ!  再び目を開くと、目の前に白亜の神殿があった。  うまく逃げられたようだが、重要なことを思い出す。  そっか、オレ妖界ってここしか知らないもんな。  そこはごくごく最近まで、自分の命を狙っていた実父とはじめて出逢った場所だった。戦いたくは無かったが、あの時はそうせざるを得なかった。  なんとなく気まずいので、あれから来ていなかったが、この場合は仕方が無いだろう。     
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