一.師匠の家で《グランドマスターズホーム》

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 見つからないうちに、人間界の家に戻ろうとした矢先。 「あ」  神殿の奥にいた人と目があった気がする。人ではなく妖だが。  近づいて来るその人は見覚えのある風貌だった。  一番会いたくないような会いたいような人の気がする。 「……」  その人も途中で立ち止まる。  間違いない、この間までオレの命を狙っていた父レキ、その人だ。  酒呑童子レキは妖界最強の鬼。  親子である以上、自分が半分妖である以上、また対峙することはなくはないと思ってはいたが、こんな近いうちにその日がやってくるとは思いもせず、心の準備というものが整っていない。  近くも遠くもない絶妙な距離で、互いにどうしたらいいのか固まってしまう。 「お兄ちゃん!」  彼の後ろから驚いたような声をあげて、レキを押しのけるようにして女の子が駆けてくる。異母妹の立夏だ。 「どうしてこっちに!?」  心の底から助かった、と思ってしまう。彼女とは少し気安い関係だ。 「ちょっとトラブルがあってさ」  レキも恐る恐ると近寄ってきた。 「セツ、くん……」  なにか話したいようで口をパクパク開くが、言葉が出てこない様子だ。  うーやっぱ気まずいよなー。 「ちょっと、パパ! あたしそんな情けないパパ嫌だからやめてよ!」     
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