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それはありがたく嬉しい誘いだった。
「ありがと、でも、大丈夫。今のとこうまくやってるし、春海もいるから」
「……そうか」
誰がみても明らかな程にしょぼーんと落ち込んでしまった。
本当にこの人、三大悪妖怪の最強の鬼かと疑いたくなる。
だがその人間くさい感じ、嫌いじゃない。
「これからはこっちにも顔出すよ。なんかちょっと気まずいかなって思って今まで来れなかったんだけど、会わないだけ余計気まずいよな。そっちも遊びに来ていいし」
「ホントに!?」
目をパチクリさせて驚いている。
「嘘なんてついてなんになるのさ」
神出鬼没はやめてほしいけどね。
「あたしも遊びに行きたい」
立夏の周りにいた小鬼たちもピーピーと呼応する。
「全然構わないよ」
「やったぁ! 良かったね、パパ」
レキさんは照れ臭そうにふわりと微笑む。
良かったのはこっちだ。
家に帰ると春海がお腹を空かせて待っていた。慌てて夕飯の支度をしてると、玄関のチャイムが鳴る。
ドアフォンを取るより直接玄関に向かった方が早いので、不用心とは思いつつも扉を開ける。
するとそこには血相を変えた丙が立っていた。
「あ、丙」
「よかった、無事だったのか」
彼が一瞬で緊張を解いてホッと溜息を吐いた。
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