一.師匠の家で《グランドマスターズホーム》

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「うちでもなるべく見張る。父にも相談するが、あの人は公務員と兼業でうちの仕事をしているから忙しいんだ」  最初、半分妖という事実を突き付けられた時、そんなことがバレたら人間界じゃ暮らせないって思ったんだ。  でも清明先生や丙みたいな知っていて受け入れる奴がいるし、大衍みたいに当たり前のように暮らす奴もいる。  このまま暮らしていけばいいなと思っていたが、そうは問屋が卸さないとばかりに、少し翳りがみえてきた気がしなくもない。 「しっかし暦は、桃太郎の子孫が鬼と結婚しちゃったってことだよなー。知らないって罪だなー」  春海が面白可笑しそうに言うので、少しムッとしたから白々しく爆弾を放つ。 「ああ、そうだ。レキさんが向こうで一緒に暮らさないかって」 「うぇ!?」  素っ頓狂な悲鳴をあげた後、声が出ない程驚いてくれた。 「な……な!?」 「まぁ高校もあるし断ったけどさ」  したり顔でそう言ったが、春海はまだ青い顔を引き攣らせて、わなわな震えている。  実はほんの少しだけ、それもありかなと思ったんだ。向こうの世界を知るのもいいと。  人間界で暮らして欲しいと思ってる春海には言えないけど。  次の日先生にも相談してみた。 「今はそうだな。だが、卒業後はどうする」     
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