一.師匠の家で《グランドマスターズホーム》

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「先生、オレまだ高一だよ? 卒業後のことなんか考えたくないんだけど」 「何言ってんだよ」  でも、そうも言ってられないのが実情。 「……まぁでも、オレ、妖界のことよく知らないから、留学感覚で行ってみるのもいいかもなって」  先生は感心したように、ふーんと鼻息を吐いた。 「ちゃんと考えてんじゃん。でも春海には言えねぇな」  うっ、完全に読まれてる感。  先生には前回妖界に行った時の話はしてある。行くまでの功労者でもあったし、すっかりオレの相談相手となった今隠すこともない。  だから春海がオレの存在を利用して妖界の情勢を変えようとしていたことも、オレを人間界に戻してこれ以上妖と関わらないようにさせようとしていたことも知っている。 「でも春海はこっちにお前を縛りたいわけじゃねぇだろ? どっちもお前がいていい世界なんだから」 「うん、オレもそう思うんだよな」  だから昨日の反応はちょっと予想以上過ぎて困る。あれは完全に拒否だったな。  一度ちゃんと話し合ってみた方がいいだろう。 「しっかし、武中の強硬派に目を付けられちまうとは散々だな」  そういえば先生も元武中の祓師だったという。 「先生って穏健派だったの?」 「いや、オレは強硬派だったよ。今でもその精神はあるし」 「えっ!?」     
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