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「丙くんに聞いたら、セツくんの知り合いだからセツくんに聞けって」
丙め。だから今日遅れて行くとメールしたら、知ってる、って謎の返答してきたんだな。
それでもわざわざ放課後に、オレを呼び出さなくてもいいだろう……。
グソクムシウインナーの件も合わさってイライラしてきた。
当の春海が近くに隠れて盗み聞きしてるのもわかってるんだよ。
こうなったら意地悪してやろ。憂さ晴らしだ。
「赤口さん、今週の土曜とか空いてる?」
「え、空いてる、けど……?」
「春海とちょっとお茶でもしてきなよ」
「いいの!」
いいよいいよ、全然構わないよ。
木の陰からガサッと音がしたが構うものか。
「セッティングしてあげるよ」
「ホント! ありがとう!」
彼女が去ってから、すごい勢いで茂みから何者かが出てきて腕を掴まれる。
「どういうことだよ、セツ!」
当の春海だ。
おお、怒ってる怒ってる。
「まぁまぁ、尾行(ついて)ってやるから」
「……」
楽しんでるだけなのが丸わかりらしく、無言の膨れっ面で返される。
「少しくらいいいじゃねぇか。好意を持ってもらえたんだぜ」
「まぁいいけどさ。でもセツ、いいのか?」
「え?」
いいのかとなぜか自分が問われて、改めてカレンダーを頭の中に浮かべる。
「……あ!」
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