二.狼の円舞曲《ワルツ》

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「丙くんに聞いたら、セツくんの知り合いだからセツくんに聞けって」  丙め。だから今日遅れて行くとメールしたら、知ってる、って謎の返答してきたんだな。  それでもわざわざ放課後に、オレを呼び出さなくてもいいだろう……。  グソクムシウインナーの件も合わさってイライラしてきた。  当の春海が近くに隠れて盗み聞きしてるのもわかってるんだよ。  こうなったら意地悪してやろ。憂さ晴らしだ。 「赤口さん、今週の土曜とか空いてる?」 「え、空いてる、けど……?」 「春海とちょっとお茶でもしてきなよ」 「いいの!」  いいよいいよ、全然構わないよ。  木の陰からガサッと音がしたが構うものか。 「セッティングしてあげるよ」 「ホント! ありがとう!」  彼女が去ってから、すごい勢いで茂みから何者かが出てきて腕を掴まれる。 「どういうことだよ、セツ!」  当の春海だ。  おお、怒ってる怒ってる。 「まぁまぁ、尾行(ついて)ってやるから」 「……」  楽しんでるだけなのが丸わかりらしく、無言の膨れっ面で返される。 「少しくらいいいじゃねぇか。好意を持ってもらえたんだぜ」 「まぁいいけどさ。でもセツ、いいのか?」 「え?」  いいのかとなぜか自分が問われて、改めてカレンダーを頭の中に浮かべる。 「……あ!」     
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