二.狼の円舞曲《ワルツ》

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 だが、ここだったらちょっとくらい格好がぶっ飛んでても気味悪がる奴はいない。寧ろファッションだと理解され、オシャレ~なんて言われることもあるだろう。  例え頭から角が生えてようが、犬耳やしっぽが飛び出そうが……。  そんな場所だからか、意外に妖が彷徨いていたりするのだという。言われてみれば、あのクレープを食べている猫の耳の人やアイドルグッズの店を覗いているたぬきのしっぽの人は妖の気配がする。  鬼だと気付かれたら厄介なので春海の後ろに隠れようと思ったが、彼も彼で狼男だし、立夏も純血の鬼だったと思い出して諦める。自分のが半分なだけに幾らかマシな気がする。  そうしているうちに、待ち人が焦った様子でやって来た。 「ごめんなさい、お待たせしました! 赤口茜といいます。今日はよろしくお願いします」  ぺこりとお辞儀する。  私服の女の子は制服姿とはまた違った雰囲気になるな。 「茜ちゃんね、今日はよろしくね」 「はいっ!」  かなり緊張している様子だ。 「ごめん、赤口さん、オレまで着いてきちゃって」 「ううん、逆にありがと。いきなり二人きりだったら喋れないもの」  うん、人に気を使える可愛い子だ。 「こっちはオレの妹の立夏。外国育ちでさ、日本案内してるんだけど、連れてっていいかな」 「うん、全然! に、日本語話せる?」  立夏の少し異様な外見に若干尻込みしてみせる。     
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