二.狼の円舞曲《ワルツ》

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「立夏ちゃんのその角のアクセサリ可愛いよね。どこで買ったの?」  ヤバい。  外では帽子を被せて隠していたが、室内に入ったことで外したようで、角が丸見えだ。 「え? これはアクセサリじゃなムグッ……」 「?」  余計なこと言いそうな立夏の口を塞ぐ。 「これはイギリスだよなー。向こうはファンタジーの国だから、ユニコーンとか妖精とかいるらしいからなー」 「え! そうなの?」 「お兄ちゃん、なんのこと?」  立夏が不思議そうに首を傾げる。 「ほら、馬みたいな奴とかちっちゃくて羽根で飛ぶ奴とかいんだろう」  たぶん妖でそんなのがいるだろうと思った。 「ああ、あいつらのことね」  あ、やっぱいんのか。 「えー凄い! 私妖精見てみたい!」 「見てミュウッ……」  今、立夏がなにを出そうとしたのかがわかって腕を強く引っ張る。 「お兄ひゃん! 舌噛んだじゃない!!」 「ごめんごめん、なんかデカい蜂が立夏に向かって飛んで来てたから」 「ホント? ……ならいんだけど」 「ごめんごめん。お、ハワイアンバーガー来たぞ」  春海と目配せする。 「おう、うまそーだな! オレ、パイナップル挟んであんのはじめて」 「私もです! すごいボリュームですね!」     
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