二.狼の円舞曲《ワルツ》

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 なんとか誤魔化せた。立夏のことだから、あのチビ鬼三匹を連れて歩いているんだろう。確かにちっちゃくて羽根で飛ぶ奴らだけど、妖精では決してない! キーキーとひもじそうな鳴き声が聞こえた気がしたが気のせいだ!  春海は外でのご飯はあまり口に合わないんだよなーと言いながらバーガーから野菜を抜いたり、赤口さんは酢豚にパイナップルは嫌いだけどピザには許せるさてバーガーはこれ如何にとおどけてみたり、立夏は細身の割りにペロッと食べきってしまったり、となかなかおもしろいランチを過ごせた。  家の最寄り駅が同じだとわかり、もう薄暗いので家のちかくまで送っていくこととなった。  所々バレそうでバレない感じでひやひやさせられたが、無事デートを終えることが出来そうだ。  春海が赤口さんと付き合うかどうかは、それは二人の気持ち次第だが、赤口さんも悪い子ではないので付き合うことになってもオレは賛成する。  命を狙われるなどという殺伐としている世界にずっと身を置いていたのだから、これからは解放される時間をつくってあげたい。  ふと、道の先に数人の人影が道を塞ぐように立っているのに気付く。  いつぞやのことを思い出し、まさかなと独り言ちる。  近づくに連れ嫌な予感は増し、春海に視線で合図する。後ろでは立夏と赤口さんが楽しそうにアイドルの話をしている。     
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