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行く先に待つように立っている者たちは、見覚えのある格好をしていた。黒い袴に黒い外套。そう、丙が祓いの仕事をする時の格好だ。
「おや、鬼だけじゃないようだ」
その聞いたことのある声にゾッとした。
本能的にマズいと思った。
「春海! 赤口さんと立夏連れて戻れ!」
「狙いはセツだろ! セツが戻るんだ!」
間髪入れずに返される。
「え、なに? 喧嘩?」
赤口さんがオレたちと待ち伏せしていた者たちを見比べる。
喧嘩なんて生易しいもんじゃない。恐らく彼らは鬼であるオレを祓おうと待っていたのだ。
はっきり見たわけではないから口にはしないが、ほぼ間違いなく、丙の兄とその連れだ。一人女の子がいるので、もしかしたらあれが丙の妹かもしれない。
「甲様、人間が混じってるようです」
「構わないんじゃない? 妖と連れ合うなんてすでに人外でしょう? ねぇ甲兄さま」
「巽は賢いね」
「はい、それもそうですね」
勝手なことを話している。赤口さんを巻き込むわけにはいかない。
立夏も目を釣り上げる。
「なによ、こいつら」
「祓師だ。手ぇ出すなよ」
やはり祓師と対峙することになってしまった。丙の家に行ったのは迂闊だった。
逃げられるならばそうしたいが、逃げ切れるだろうか。闘うにも赤口さんの前では難しい。
祓師の一人が何かを投げ付けてくる。
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