9人が本棚に入れています
本棚に追加
春海が買ったばかりのトングでその何かを弾き返す。
するとそれが春海の足元でボンッと爆発した。
「危ねっ! ちょい、乱暴じゃねーか!?」
もし当たっていたら大怪我だ。ていうか猫足トング……。
隣を見ると、赤口さんが目を丸くしてわなわなと震え出す。
「お、おい?」
ばたーん、と勢いよく後ろに倒れる。
「赤口さん!」
春海が地面ぎりぎりのところで受け止める。
「うわー。でもこれでひと目を気にせずに済むな」
そのまま赤口さんを地面に寝かせ、立夏に頼み、春海が遠吠えをあげる。そして狼男の姿に変幻する。
やっぱ、戦わなきゃならないのか!?
丙の兄弟だ、出来れば避けたかった。
「?」
春海が軽く首を捻る。なにか違和感を感じたのだ。
オレの方もなんだかさっきから身体が重い。
たぶん丙の家でも受けた、妹の巽の呪縛とやらだ。
振り向くと後ろで立夏が苦しそうに脂汗を垂らしている。
「無理すんな、座ってろ」
「でも!」
春海もどんどん身体が重くなっていくようで、用心のためか動こうとしない。
この状況下では、彼のいつもの素早さは発揮出来ないだろう。
こんなんじゃ全員祓われてしまう。
背後でキキッと車が停まる音がした。こんな道のど真ん中では無関係な人も巻き添えにしかねない。
最初のコメントを投稿しよう!