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「無駄な抵抗、ってやつですよ!」
巽がまた妖気の塊を投げつける。
丙は刀でそれを弾くが、もう一人の祓師までもが別方向から投げ付けてくる。
足をかばって丙は体勢を崩したが、なんとか刀で薙ぎ払う。
が、そこを甲が弓を射ってきた。丙の刀の刀身と同じく、光の矢だ。
マズい!
丙を護るようにして、春海が丙の前に出る。
閃光が走りバシッと音がした。
春海が膝を地面につく。
「春海!」
「だ、だいじょぶ!」
そう答えたが苦しそうだ。放たれた矢は防げたようだが、呪縛によって重い身体を無理やり動かしたせいだろう。
そのままの体勢で手を地面につく。
なるほど、転んでもただでは起きないか。
地面が揺らぎ出す。春海が地を揺らしているのだ。
不安定な地に慌てる祓師たち。甲だけは動じておらず、煩わしいとばかりに舌打ちする。
「きゃあ!」
巽が悲鳴を上げる。揺らぐ地面に耐え切れず座り込んでいる。
あれ、今一瞬少し身体が軽くなった気がする。
それを確かめようと春海を伺おうとしたその時、ふわっと覚えのあるにおいを感じた。
「家に居ないと思ったら取り込んでいるようだな」
そして耳に響くようないい声。
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