二.狼の円舞曲《ワルツ》

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「無駄な抵抗、ってやつですよ!」  巽がまた妖気の塊を投げつける。  丙は刀でそれを弾くが、もう一人の祓師までもが別方向から投げ付けてくる。  足をかばって丙は体勢を崩したが、なんとか刀で薙ぎ払う。  が、そこを甲が弓を射ってきた。丙の刀の刀身と同じく、光の矢だ。  マズい!  丙を護るようにして、春海が丙の前に出る。  閃光が走りバシッと音がした。  春海が膝を地面につく。 「春海!」 「だ、だいじょぶ!」  そう答えたが苦しそうだ。放たれた矢は防げたようだが、呪縛によって重い身体を無理やり動かしたせいだろう。  そのままの体勢で手を地面につく。  なるほど、転んでもただでは起きないか。  地面が揺らぎ出す。春海が地を揺らしているのだ。  不安定な地に慌てる祓師たち。甲だけは動じておらず、煩わしいとばかりに舌打ちする。 「きゃあ!」  巽が悲鳴を上げる。揺らぐ地面に耐え切れず座り込んでいる。  あれ、今一瞬少し身体が軽くなった気がする。  それを確かめようと春海を伺おうとしたその時、ふわっと覚えのあるにおいを感じた。 「家に居ないと思ったら取り込んでいるようだな」  そして耳に響くようないい声。     
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