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すぐ隣に長い白髪で長身の九尾の狐儀鳳が立っていた。着崩れた着物が男なのになぜか色っぽい。
「儀鳳、いつの間に」
「いつものことだろ」
まぁそうなんだけど、このタイミングでいつものように神出鬼没に現れるとは。
「九尾だ!」
「九尾……」
祓師たちがざわつく。祓師の間でも彼は有名らしい。
「なんだ、祓師どもか。お困りなら蹴散らしてやろうか?」
その提案は意外だった。常に傍観者でいる奴だと思っていた。
「あんま怪我のないようにできっか?」
「出来なくはないが、奴らの場合少し痛い目みせた方がいいぞ。修行とばかりになんでもかんでも祓ってやがる。この間南の方でまだガキの狐がやられてな、それを囮に何人もやられたらしい」
「……」
酷いことをする。
彼らは存在を消してしまう祓いをするという。
「……殺さないようにな」
儀鳳はフッと不敵に笑って答える。
「どうかな」
次の瞬間、一人の祓師が狐火に巻かれている。
「うわぁぁあ!」
狐火は単なる炎とは違う。酸素を使ってものを燃やすのではなく、対象者の妖気を使って燃するのだ。
それでも火は火だ。狐火に巻かれた祓師は狂ったように地面を転がってもがく。仲間の祓師も外套で叩いて火を消そうとするが、そんなんじゃ狐火は消せない。
「なかなか厄介な空間だな」
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