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そうは言いながらも狐火を操って一人の祓師を戦闘不能にした。焼死したわけではなく、妖気を燃やし尽くし気を失ったところで狐火が消えた。
「幻影は無理だ」
思ったより力が出ない様子。手加減がわからなそうだから丁度いいかもしれない。
「うん、息苦しいな」
狐火が実際燃えたわけではないが、なんとなく火があがったことによる息苦しさがある。
「お兄ちゃん、火なら私も」
「立夏、ここはいいから」
立夏が立ち上がろうとした気配を感じて振り向いて止める。狐火に対抗して鬼火を出されたら堪らない。
「セツ!」
丙が叫んだ。
「邪魔をするなぁっ!!」
祓師たちに向き直った時、甲が立て続けに矢を放ったところだった。
放射線状に光の矢が向かってくる。
「立夏!!」
祓われる!
立夏へ伸ばした爪の先から鬼の姿へと変わっていく。爪と牙が鋭く光り、腕や腰に紋様が浮き上がる。
全身が鬼へと変幻した瞬間に、打ち払うようにして、甲の繰り出した矢を術者ごと弾き飛ばす。
まただ。またこうなってしまった。
力が湧くように溢れ出す。
「甲兄さま!!」
甲が壁にぶち当たって転がる。呻きながらも頭を上げて、こっちを睨み付けてくる。
流石に自らが出した術にやられる輩ではないようだ。咄嗟に身を護る方に変えたのだろう。
「鬼めが!」
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