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憎しみの感情に寄って力を呼び覚ますと、その憎しみが増幅し、それに振り回されるから不愉快だ。
だが、気分は申し分ない。
人の感情と鬼の感情が入り混じり、自分の内側で矛盾した葛藤をする。
どちらも自分なのだ。
だけど、よりによって丙の目の前で。
だが、立夏を傷付ける奴は許されない。
自分ではもう止められない。
「なんだ、人間の修行ばっかしてると思えば、しっかり妖力も磨いていたのだな」
九尾はやはり他人事のが向いているようだ。
儀鳳がふむふむと感心している。
「甲兄さま! あいつ、あたしの呪縛が効いてないっ!」
人間の小娘が叫ぶ。
鬼のくせに、人間の血が彼らの術を弾くのだ。
「うぉぉぉー」
祓師の一人が無謀にも立ち向かって来る。
丙のような妖気の刃は持っていない。あれは神社で神主が振るう祓串だ。
それを振って何かを唱えようとしているがトロい。
まるで祓師の動きが読めるようだ。
祓いについて学んだかいがあった。
こんなつもりで学んだわけではない。
祓師の持った棒についた紙を散らせる。もうただの棒きれだ。
それでも彼らは戦う気を失わない。
絶対オレには敵わないのに。
呪縛を解き放てばみんな楽に動けるようになる。そうしたら気付いてくれるかもしれない。
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