二.狼の円舞曲《ワルツ》

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 当然その後、春海のせいで変な噂が立つことになる。  どういうことだと問い詰めると、春海はなんのことだと惚けた顔をする。 「赤口さんを振っただろ」 「ああ。やっぱ、人間の女の子は難しいと思って」  その理由はわからなくもない。だけど! 「じゃあ、なんで相手を立夏とかにしない!」 「てへぺろ」  してやったりな顔をされて、キレた。 「もうてめぇの弁当作らねぇから」  睨みつけてそう告げると、春海はこの世の終わりと聞いたような絶望的な顔をする。  弁当にはじまり、弁当に終わる。そんな秋の終わり。
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